言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー




第一陣の戦闘が繰り広げられるのを横目に廃神社を目指して走っていると、黒狐の黒貫が傷だらけの姿で戦っているのが見えた。

連絡がつかなかったのも、思いのほか開戦の合図が早かったのも、既に戦闘が始まっていたからだろう。

飛び出そうとした瑞祥と亀世の二の腕を掴んで木陰に引きずり込んだ。青い怪し火が目と鼻の先を猛スピードで通り過ぎていく。

肩で息をする亀世が「よくやった」と尊大な態度で褒めてきた。


「亀世、ほら」


振り返って亀世に手を差し出せば、汚いものを見るような目で差し出された手を見た。


「なんだその手は」

「お前足遅いんだから、手繋ぐしかないだろ」

「好き好んで兄貴と手を繋ぐ妹がどこにいるんだよ」

「俺だって好き好んでねーよ!」


頬を引きつらせて噛み付けば、瑞祥が「落ち着けって」と手を振った。

瑞祥と手を繋いだ亀世は、もう今のやり取りに興味が無くなったのか空いた手で顎を触り何かを考え込む。


「作戦はどうする?」

「まずは天司を探し出すのが最優先だ。白沢さんがいれば匂いを辿って貰えたんだが、伊也隊に貸し出したんだろ」

「なんで知ってんだよ」


鶴吉のつっこみを軽く受け流した亀世は、木陰から廃神社を伺う。


「出る前にも話したが、天司はフィジカル系の妖だ。錫杖を使った攻撃だから、神職たちは狭い場所へ追い込んでいくはずだ」