言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


尋ねられて唇を結ぶ。俯いて、つま先を見つめた。

感情を押し殺して割り振られた役目を全うすることこそが神職なのだと思っていた。私情を挟まず神役諸法度に基づいた行動を取ることが何よりも正しいのだと。

けれどアイツらと、巫寿や来光たちと過ごす日々は感情を揺さぶられる事ばかりで、上手くいかないことの方が多かった。

でもそんな毎日は、これまでよりもずっと胸が弾んで、不思議と嫌ではなかった。むしろ心地いいとさえ感じていた。

何よりも心のままに笑って、泣いて、ひたむきに前へ進み続ける巫寿から目が逸らせなかった。


俺が、本当にしたかったことは────。


前を向いた。視線の先には廃神社が見える。


「来光と嘉正を助けに行く」


言葉はなかった。鶴吉に力強く背中を叩かれて、亀世がニヤリと笑った。瑞祥が僅かに微笑み、泰紀が突き出した拳で恵衣の胸を叩く。


「絶対に死ぬなよ」


瑞祥の言葉に深く頷いた。


「まぁいざとなったら、私の開発中の黄泉返りの薬を試す名誉をやろう」

「やめてやれ亀世、それ死ぬより怖ぇから」


鶴吉のツッコミに小さく笑ったあと、皆は深く息を吐き出した。笑みは消える。真剣な表情で視線が絡むと、ひとつ頷き駆け出した。