「なんだよ、恵衣も行きたかった派なのかよ」
「頭おかしいのかお前、一緒にするな。それよりも────」
その瞬間、カンッと鋭利な鋼同士がぶつかり弾け合う音が聞こえて一層身を低くした。
戦線はもう目の前に迫っているらしい。
「ここまで来たら、もう下がるのも危ないだろ。背中を見せればヤられるぞ。それにここに長居するのも危険だし、建物の中に入って神職に合流する方が安全だろ」
亀世が冷静にそう答えた。冷静どころか、予め答えを用意していたような感じだった。亀世の言うことは間違いともいいきれないので尚更なんとも言えない。
「でも、景福巫女頭一人に負傷者の手当を任せるなんて」
「問題ない。あの人の治癒祝詞は全巫女の中でトップスリーには入る腕前だ。高等部卒業後はストレートで医学部受かって卒業してるしな」
え、ガチ!?と泰紀が目を瞠る。
景福が優秀な巫女であることは周知の事実だったが、まさかそんな経歴があるとは驚きだった。
聞けば景福は神修の学校医を目指しているらしい。
「私が何も考えずに飛び出すわけないだろ」
若干威張った顔でそう言い張った亀世に頬を引き攣らせる。
そこまで色々考えているなら、黙って飛び出すことさえしなければ完璧だったのに。
「一緒に出てきたはいいけど、俺らはお前らのこと構ってられないからな。自分の身を守ることを最優先にしたいようにやれよ」
「分かってる。三人は天司のとこか?」
「おう。そっちはぬらりひょんだろ。恵衣は?」



