言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


次の瞬間、恵衣と景福以外の全員がザッと土を踏みしめてまるで陸上選手のごとく同じ方向に飛び出した。


「え!? ちょ、ちょっと皆さん!?」


景福が驚いたように叫ぶ。

いちばん最悪な状況になってしまった。

遠くなっていく背中にどうすべきか頭をフル回転させた。今日の戦闘は人質の二人を救出するのがメインとはいえ、多数の負傷者が予想される。その手当を景福と自分だけでどうにかできるとは思えない。

どんどん遠ざかっていく背中、でもまだ走れば追いつける。だったら────。


「景福巫女頭。俺、追いかけます」

「恵衣さん!」

「すみません、すぐ戻ります!」


勢いよく土を蹴り上げて走り出した。

景福が後ろからなにか叫んでいるが、今止まればおそらく追いつけなくなる。心の中で謝りながら、飛び出していった背中を追いかけた。

走りながら眉根を寄せる。

そもそも開戦の合図が早すぎる。最後尾とはいえ第一陣とはそこまで離れていなかった。自分たちの現在地から第一陣の居場所を推測すると、まだ神々廻芽たちが潜伏している隠れ家にはたどり着いていないはずだ。

先頭で何かあったのか?

怒声や力がぶつかり合う激しい音が近付いてきて、飛び出していった泰紀たちが草むらの影に身を潜めているが見えた。

屈んでゆっくりとその背中に近づき、「おい泰紀」と小声で話しかける。