傷病者の手当と治癒祝詞の奏上程度なら学生だけでも何とかなるだろう。
あとは景福巫女頭になんて言い訳をするかだが────と、そんなことを考えていると「おい、恵衣」と肘で二の腕を続かれる。
顔をあげるといつの間にか隣に鶴吉が立っていた。
「鶴吉さん?」
「シッ……先生たちにバレないように静かに黙って聞け」
妙な物言いだなと思いつつ、ひとつ頷いて「なんだ」と目で訴えかける。
「作戦が始まったら恐らく……亀世が飛び出して本隊に加わろうとすると思う」
「はぁ!?」
「静かに!」
勢いよく口を押さえつけられた。
「なんでそんなこと……!」
「聞いたんだ。あいつ、瑞祥に『自分の命に代えてでも聖仁の仇を取る』って言ったらしい」
言葉に詰まる。あの日、自分も同じ場所にいた。
鶴吉は少し目を伏せて可笑しそうに笑った。
「それにさ、分かるんだよ。双子だから。俺が亀世の立場だったら、自分が死んだとしても天司を殺したいと思う」
笑いながらも、瞳は激しく燃えている。
友人を失う悲しみを知った。身が引き裂かれるような悲しみと、心に穴が空いたような喪失感。この人も、同じ思いをしたのだろうか。
「亀世が大人しくしてりゃそれでいい。でももし亀世が飛び出したら、俺も飛び出す。アイツを止めるつもりはない」
────そしてその二人を止める権利は、自分にはない。
どうしてこんなに自分勝手な人達が集まってしまったんだ、と頭を抱えたい衝動を堪えながらひとつ頷いた。



