言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー




一時間前。

動きを悟られないように人員を散らして各所の鬼門から幽世へ入った神職たちは、形代を追って芽たちの隠れ家を目指していた。

恵衣ら学生班はまねきの社巫女頭の景福、そして薫と嬉々先導のもと、本隊とは遠く離れた最後尾に配置された。怪我人が運ばれてきた際の救護役を仰せつかっている。

本隊に参加させて貰えないことに対して全員が不満に思っていたものの、留守番を言い渡されることに比べたらマシだと思ったのか、誰も文句は言わなかった。


「たく……陰鬱だな」


鬱蒼と木々が茂る森の中を見回して亀世が顔を顰める。

数十分前から森の中へ入った。

巫寿の兄祝寿が調べた廃神社はこの森を進んだ先にある。来光の形代を追いかけている先頭の本隊が進み続けているということは、祝寿が示した場所と来光たちの居場所が一致しているということだ。


「皆さん、よそ見しないでください。本隊から離れているとはいえ、敵の潜伏先のすぐ近くなんですよ」


先頭の景福に促されて足を速める。

その時、「恵衣」と小さく名前を呼ばれて後ろから二の腕を引かれた。最後尾まで引っ張られていき、顔を顰めてその人を見上げる。


「なんですか、薫先生」

「そんな怖い顔しないでよ。今回のはあくまで救出作戦であって、極力戦闘は避けることになってるんだから」


あんたが自由すぎるからこの顔なんだよ、とは言わずに深くため息を吐いた。

ちょっと耳貸して、と人差し指をくいと曲げた。