「……戦術に詳しいんですね」
「面白いぞ、孫子の兵法。色んな場面で役に立つ」
ニヤリと笑った亀世に、"さすが俺らの参謀"と鶴吉が肩を揉む。
その知識がろくな事に使われていないことだけは確かだ。
「第二陣までが周囲の妖を蹴散らす役目で、本丸に突撃する第三陣はおそらく五班編成だ。対伊也、対天司、対ぬらりひょん、対神々廻芽。そして救出班」
第一陣で突破口を作り、第二陣で本丸まで進む。第三陣で幹部陣と交戦し、その隙に囚われた来光たちを救出する。
無駄なく短期間で救出するには、亀世の予想する作戦が理にかなっている。
「どの神職がどの班に入るのかも、何となくわかるのか?」
「大体はな。恐らく対天司班はフィジカル系の神職だ。天司は風を操るが、基本は錫杖を用いた戦闘スタイルらしいからな。対伊也班は恐らく萬さんや惣慈さん辺りだ。あの人たちは仕えてる社の御祭神が山犬神だから、妖狐と戦うのに有利だ。私が思うにもしかしたら────」
ちらりと鶴吉に目を向けて何が言いかけたそのとき、「鶴吉、ちょっと来て」と薫が呼び付けた。俺?と不思議そうに首を捻った鶴吉が「ちょっと行ってくる」と立ち上がる。
薫に押されて幹部陣の方へ歩いていった背中を見ていた亀世が視線を戻す。
「私が思うに、鶴吉は伊也班に呼ばれるんじゃないかと思ってる。アイツは白沢さんを持ってるからな」
シロサワさん────白沢のことか。
そういえば鶴吉が薫に手伝ってもらって白沢を使役したというのを前に聞いたことがある。機会があれば見せて貰おうと思っていた。



