言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


「教えないのは、お前たちが間違いなく暴走するからだ。信用がないということだよ。日頃の生活態度を恨むんだな」


そんなに悪くねぇだろ、と泰紀と鶴吉の不服が揃う。悪いわッと、部屋にいた神職みんなのツッコミが見事に揃った。いいからそっちに集中しなさい、と苦い顔をした豊楽は別の神職に呼ばれて行ってしまう。

泰紀がどこか思い詰めた表情で遠ざかっていく豊楽の背中をじっと見つめていた。


「ま、多方あれだろ。先鋒隊が突入して周りを固めている黒狐族を蹴散らした後、第二陣は五、六班にわかれて突入させる、的な」


そんな台詞と共に鶴吉の隣にストンと腰を下ろしたのは数時間前に「特大のウンコ出してくる」とだけ行って姿を消していた亀世だった。


「遅くなった。最近便秘気味だったもんで」


シレッとそう答えた亀世に、鶴吉はケラケラと笑った。思わず顔を顰める。

そんな下品な話で笑えるのはこの人達か小学生くらいだ。


「で、首尾は? 帰ってきたってことはちゃんと話せたんだろ」

「ん」


亀世が顎で示した先を見る。薫と話しているのは瑞祥だ。瞳を潤ませて何かを伝えている。それを聞く薫の表情は穏やかで優しい。

目を見開いて振り返ると、何事も無かったかのように薬研をごりごりと引いている。

トイレに籠っている訳ではないだろうとは思っていたけれど、まさか彼女の元に行っていたなんて。


「そっちはどうなんだ。作戦聞き出せたのか」

「全然ダメ。何言っても話してくれねぇんだわ」

「まぁ、だろうな」


戻ってきた瑞祥がどこか気まずそうに亀世の隣に座った。

双子は、まるでちょっとの間離席していた人が戻ってきたかのようにすんなりとそれを受け入れる。それが二人なりの優しさなのだろう。