「亀世が、生きててくれてよかった」
振り返って瑞祥を抱きしめた。ろくに飯を食っていなかったのか、肩は前よりも華奢になっていた。
ふたりして声を上げてわんわん泣いた。わんわん泣いたあとは、蜂に刺されたような目になったお互いにゲラゲラ笑って、瑞祥の母親が用意してくれた少し表面の乾いたいちご大福を頬張った。
「これ食ったら、私も屯所に行く」
「もう、いいのか?」
「いつまでも塞ぎ込んでたら、聖仁が心配して化けて出てきちゃうだろ」
「否定できないのが怖いな」
だろ、と瑞祥が笑う。
そのとき、ブブッと瑞祥のスマホが震えた。画面には鶴吉からのメッセージを知らせる通知が出ている。
鶴吉からだ、と不思議そうな顔をした瑞祥が画面を叩いた。
「"もう仲直りしたんだろ。マジでそろそろ帰ってこいってあの馬鹿に伝えてくれ"……だって。なんで私に連絡来たんだ?」
「ああ、スマホの電源切ってたの忘れてた」
何やってんだよ、と呆れたように笑った瑞祥が親指を舐めて立ち上がった。
その目はもう下も後ろも見ていない。はるか先を確かな眼差しで力強く見つめていた。腫れた目にこけた頬、けれどその横顔は誰よりも美しかった。
恋愛対象は男だけれど、確かにこれは惚れるわな、聖仁。
恋が実って腑抜けになった親友を思い出し、小さく笑って立ち上がった。



