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ちょっと特大のウンコ出してくる、と亀世が席を立って苦笑いで送り出されたのは数時間前のことだ。
電車に揺られていると「今どこにいるんだ?」「どんだけデカイうんこだよ」「便秘?」と大量の連絡が来て、煩わしいのでスマホの電源は落とした。
片割れの鶴吉にだけ、「アイツんとこ行ってくる」と送ってある。それだけで全てを理解したらしく「了解」と返事があったので、向こうで上手くやってくれているだろう。
久しぶりに降り立った駅は妙に静まり返っている。昼間だと言うのに利用客は少なく、店はシャッターが下ろされていた。
前にここへ来た時は、夏休みだったか。
毎年、夏休みには誰かの家に泊まって大量の宿題を一夜漬けで片付けるのが恒例行事だった。ほぼ聖仁のノートを写すだけで終わるのも毎年のこと。来年からは、誰のノートを写せばいいんだろうかなんて考えて小さく息を吐いた。
いつも騒ぎながら歩いた道のりをひとりで歩く。道の先に、社が見えた。
そこまで大きくはないが歴史のある社だ。石鳥居の下で一礼して、参道を歩いて本殿に手を合わせる。社務所に顔を出せば、快く歓迎されて自宅へ案内された。
菓子を用意してくれたその人に丁寧に断りを入れて、盆を受け取り一人で部屋を目指す。冷たく軋む廊下はしんと静まり返っていて、やはりどこかもの寂しい。
廊下を歩いて一番奥、何度も泊まって朝までくだらない話をした部屋だ。床の上に盆を置いて、障子に背を向けて座った。
「瑞祥」
静かに呼びかけると、中の人物が僅かに動揺した衣擦れが聞こえた。
ちょっと特大のウンコ出してくる、と亀世が席を立って苦笑いで送り出されたのは数時間前のことだ。
電車に揺られていると「今どこにいるんだ?」「どんだけデカイうんこだよ」「便秘?」と大量の連絡が来て、煩わしいのでスマホの電源は落とした。
片割れの鶴吉にだけ、「アイツんとこ行ってくる」と送ってある。それだけで全てを理解したらしく「了解」と返事があったので、向こうで上手くやってくれているだろう。
久しぶりに降り立った駅は妙に静まり返っている。昼間だと言うのに利用客は少なく、店はシャッターが下ろされていた。
前にここへ来た時は、夏休みだったか。
毎年、夏休みには誰かの家に泊まって大量の宿題を一夜漬けで片付けるのが恒例行事だった。ほぼ聖仁のノートを写すだけで終わるのも毎年のこと。来年からは、誰のノートを写せばいいんだろうかなんて考えて小さく息を吐いた。
いつも騒ぎながら歩いた道のりをひとりで歩く。道の先に、社が見えた。
そこまで大きくはないが歴史のある社だ。石鳥居の下で一礼して、参道を歩いて本殿に手を合わせる。社務所に顔を出せば、快く歓迎されて自宅へ案内された。
菓子を用意してくれたその人に丁寧に断りを入れて、盆を受け取り一人で部屋を目指す。冷たく軋む廊下はしんと静まり返っていて、やはりどこかもの寂しい。
廊下を歩いて一番奥、何度も泊まって朝までくだらない話をした部屋だ。床の上に盆を置いて、障子に背を向けて座った。
「瑞祥」
静かに呼びかけると、中の人物が僅かに動揺した衣擦れが聞こえた。



