言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


「皆にここの場所を知らせてくれッ!」


「こんのクソガキッ!」と血相を変えて叫んだ伊也が形代に向かって怪し火を放った。自在に宙を飛び回り、崩れたやねの隙間からするりと抜け出し夜の空に消えていく。


「あちゃー、器用なことするね君。ハンカチで形代作ったの? そういや書宿の名があったんだけ」


芽は額に手を当てて飛んで行った形代を目で追いかけると、おかしそうにくすりと笑う。



「本当に優秀だね。それで本当に────邪魔」



芽の表情から笑みが消えた。背筋に冷たい汗が流れる。まるで心臓に手をかけられているような恐怖が全身を駆け巡った。

意識のない嘉正の体を抱き寄せた。

後ろからぬらりひょんたちが迫ってくる気配がある。怪し火が爆ぜる音がして、咄嗟に口が開いた。


「祓い給い 清め給え 神ながら守り給い 幸え給えッ!」


パァンッと火花が目の前で弾けた。卵色のドームが怪し火を弾き返した。間一髪だった。バクバクと暴れる心臓を深呼吸で宥める。

すくりと立ち上がった芽が来光たちを見下ろした。感情の宿さない冷たい瞳に息が止まる。


「さて、君らにはまだまだ聞きたいことがあるんだ。まだ死なないでよ」


嘉正を抱える腕に力を込める。噛み締めた奥歯がギリッと音を立てた。