言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


嘉正の髪を掴んだ天司がそのまま勢いで引き起こす。仰け反るような状態になった嘉正が呻き声を漏らした。

顔が見えて言葉を失う。顔の上半分が真っ赤に血濡れており、力なく閉じられた両目から血が溢れ出している。

放り投げられた嘉正の身体は、来光の少し離れた隣にどさりと落ちた。必死に嘉正の傍に這いよる。


「嘉正ッ、嘉正しっかりしろ! 聞こえるか!?」

「らい、こう……?」


辛うじて右目が開いて、赤く染った目がぼんやりと来光を見上げた。泣きたい気持ちを堪えて、頬の血を拭ってやる。


「ごめ、俺、筆のありか、弟たち、脅されて……」

「喋らなくていい。大丈夫、分かってる。筆ならきっと皆が守ってくれる。今は自分を守れ」


恐らく「喋らなければ弟妹を殺す」とでも脅したんだろう。自分だって、もう縁を切った家族とはいえ両親を人質に取られたら口を割ったはずだ。

目を傷つけられても限界まで黙っていた嘉正は間違いなく勇敢だ。


「さて、仲間内でのお喋りはその辺にしてもらって……今度は俺の質問に答えてもらおうかな」


体を起こそうと力を入れた嘉正に手を貸して背中を支えた。歯を食いしばりながら芽を睨みつける。

松明の火が揺れて、崩れた祭壇に芽の伸びた影が移る。


「巫寿ちゃんともう一人の男の子がいないってことは、恐らくもう全部あっちの神職たちに話が伝わってるってことだよね。俺が空亡と三種の神器を利用して、本庁の神職を根絶やしにしようとしてるってこと」


はぁ、と肩を落とした芽に、二人は息を飲んだ。