言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


自分が寝転がっているこの部屋は一番最初に監禁された和室だ。嘉正がいないということは、気を失っている間に嘉正が連れていかれたのだろう。

嘉正も絶対に何も喋らない。つまりそれだけ尋問が続くということだ。無事でいられるはずがない。どんな目に遭っているのかは考えなくとも想像がつく。

クソ、と唇を噛み締めたその時、


「ああああああッ……!」


咆哮のような叫び声は間違いなく嘉正のものだった。

しかしただ一度、その叫び声が聞こえただけですぐに、耳鳴りが聞こえそうなほどの沈黙が流れる。泣き声も呻き声も何一つ聞こえず、全身が凍り付くような感覚がして息が止まる。


「嘉正……ッ、くそ、」


身体に力が入らない。右腕は畳のささくれが突き刺さる感覚すら感じなくなった。


「くそ、くそったれ……ッ! やめろ、やめろよぉ……ッ!」


掠れた声は空気に溶けて消えていく。もう涙すらこぼれず、乾いた頬がただヒリついた。

部屋の外から足音がした。真っ直ぐにこちらに向かってくる。足音は部屋の前でとまって、障子に大きな影が映る。

現れたのは山伏姿の大男、烏天狗の天司だった。歩み寄ってくる天司をせめてもの抵抗で睨みつけた。


「芽さまがお呼びだ」


米俵のように来光を持ち上げる。腹の傷に触れて呻き声を漏らす。


神々廻芽がここにいる。つまりここは芽たちのアジトなんだ。何とかしてこのことを外の皆に知らせないと。

けれどどうやって? 私物は全て没収された。今あるのはポッケに入れていたハンカチくらいだ。

考えろ、考えるんだ。考えることは僕の十八番だっただろ。どうにかして自分たちの居場所を、恵衣や巫寿ちゃんのことを知らせるんだ。