身体中に強烈な激痛が走って、来光は目を覚ました。激しい痛みに息をつまらせる。身動ぎをするほどの体力も残っておらず、乾いたばかりの頬にまた新しい涙だけが零れた。
あれ何時間経っただろうか。吹き込んでくる隙間風が冷たくなってきたから、恐らく夜か朝方だろう。
奥歯をグッと噛み締めて頭を動かすと猛烈な痛みに掠れた声が漏れた。叫び続けた喉はもう蚊の鳴くような声しか出さない。
明かりは自分のそばに一本だけ蝋燭が置いてあるだけだ。頼りない明かりに照らされた室内は六畳ほどの狭い和室で、ささくれだらけの畳の上に自分は転がされている。
服はベッタリと濡れている。気を失う度に頭から水をかけられた記憶がある。あとは恐らく自分の血だろう。
何とか首を持ち上げて自分の右腕を確認した。割れた眼鏡でも、自分の右腕が真っ赤に染まっていることがわかる。気を失う前までは痛みを感じていたのに、今はもう感覚がない。力を込めても指先はピクリとも動かず、肩から先の肉の重さだけを感じた。
『三種の神器をどこに隠したんや?』
伊也の鋭い爪が肉に食い込む感覚を思い出し、胃の内容物が喉をのぼってくる。散々吐きまくってもう胃の中には何もないせいか、僅かな胃液を吐き出すだけだった。
『可哀想になぁ、こんなに涙流して。痛いやろ、苦しいやろ? 神器の在処をお姉さんに教えるだけで、楽になれるんやで?』
耳にまとわりつく粘着質な声だった。伊也は赤い唇をニィッと横に引いて笑いながら、来光の頬を撫でた。
『言った、だろ。僕も嘉正も、なにも……しらないッ』
睨みつけてそう答えると、伊也は愉快そうに声を上げた。
『あんた案外肝が据わってるやん。ほな、我慢比べしよか』



