「────空亡を倒すには前審神者か巫寿のどちらかが犠牲になる必要があり、審神者はまだ死んでいない。白虎に守られながら御覇李鈴と共に眠り続けている。そして芽は三種の神器を集めて本庁の壊滅と巫寿の殺害を企てている。だから巫寿は、自分が神修にいれば他の皆を巻き込んでしまうかもしれないと思って去ろうとして、お前たちはそれについて行った、と」
全ての説明を終えてひとまとめにした禄輪は、怒りを通り越して呆れたように額を抑えた。
何故そんな大切な話を言わなかったんだ、と呟き「いや今はそれどころじゃない」と首を振った。
はい質問、と薫が手を挙げた。
「そもそも芽の馬鹿が三種の神器を狙ってるってどうして分かるの?」
「聞いたからです。神々廻芽はわくたかむの社から國舘剣を盗んだことと、それを使って本庁を壊滅させようとしていると」
「聞いたって、誰から聞いたのさ。信頼できる人物なの?」
答えるかどうか悩んだ後、迷った末に口を開いた。
「神々廻隆永宮司に」
室内の空気がどよめいた。
隆永宮司ってあの!?、行方不明じゃなかったのか、今どちらに、とさわぐ神職たち。そんな中薫だけが、静かに目を見開く。
「……生きてたんだ、あの人。とっくにどこかで野垂れ死んでるのかと思った。あはは」
動揺を隠すような憎まれ口の奥には、確かに安堵と親しみの色が隠れていた。
巫寿ならこういう時に気の利いたことを言うんだろうけれど、自分にそういう才能はない。
「社も社の神職たち何もかも見捨てて、何やってんだか」
"何もかも"には恐らく、薫自身のことも含まれているのだと気付いた時には自然と口が開いていた。



