言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


誰かの強い気配を感じて飛び起きた。

一瞬目の前がぐるりと回って額を抑えて首を振る。目眩が落ち着いたところで確認すると、恵衣は薄緑色のカーテンで仕切られたベッドの上に座っていた。

消毒用のアルコールの匂いに、見慣れた天井。カーテンに人影が映って「恵衣くん? 入りますよ」と声がかかり、薄緑色のカーテンがシャッと開いた。

年齢の割には幼く見える面持ちの白衣(はくい)を着た男性が立っていた。


陶護(とうご)先生……」


神修の養護教諭である陶護だった。


「目が覚めたようで何りよりです。怪我も見た目に比べてそこまで酷くなかったようで。本当に今までどこで何をしていたんですか?」


どこか呆れたような口調で、慣れた手つきで瞼の下を軽く引っ張り脈を測った陶護。

そこであの夜、神職たちと合流したあと気を失ってしまったことを思い出した。


「今何時ですか!?」

「今? 朝の7時です。あなたが運び込まれてきてから6時間くらいですかね」


6時間、その数字を理解した瞬間布団を蹴っ飛ばしベットから飛び降りた。

怪我でかなり血を失ったらしく、揺れる地面を歩いているような感覚に咄嗟にベッドフレームに手をついた。


「まだ動けませんよ! もう少ししたら薫さんがここまで来てくれますからそれを待ちましょう」

「そんな悠長に待ってる時間はないんですッ!」


陶護が肩を抱いてベッドへ戻そうと促すも、その手を強く払い除ける。勢いのまま医務室を飛び出し廊下を駆け抜けた。