手を引かれて廃工場を飛び出した。動かないように言い聞かせた少年たちが、神職さまと話している姿が見えた。
全身が痛い。体も心も、引きちぎれそうなほど痛かった。
「恵衣くん、お願い戻ろうッ……! 恵衣くん!」
それでも尚走り続ける恵衣くんに叫んだ。恵衣は止まらない。強く手を引いてもビクともしない。走り続けた。
「恵衣くんの馬鹿ッ! お願いだから助けに行かせて……! もう二度と、友達を失いたくないのッ!」
「俺だってそうだッ!」
怒鳴られて息が止まった。恵衣くんの手が震えていた。
恵衣くんに手を引かれて路地裏に入った。少し奥まったところで足を止めた恵衣くんは振り返って私の両肩を掴んだ。
顔は無事な場所を見つける方が難しく、あちこちから血を流していた。
「これから巫寿は一人で前審神者さまの元を目指せ。来光の札があれば三日は誰にも見つからず進める。それまでに何とかして辿り着け」
二人の荒い息遣いが、路地裏に響く。
「恵衣くんは、」
「俺は廃工場に戻る。神職さまたちに合流して烏天狗と戦う。それで嘉正と来光を回収したら、巫寿を追いかける」
でも、と言い淀んで口を噤んだ。
"助けに戻る"、それは私の望んだことだ。「でもそんなの危険だよ」なんて言えなかった。



