事務所を一通り捜索したけれど、女の子を発見することはできなかった。二階はまだあと三部屋し、そのどこかに隠れていると思いたい。
それにしても、一部屋捜索するのに随分時間がかかってしまった。この調子じゃ応援に来る神職の方が早いかもしれない。
もうちょっとスピードを上げよう、そう言おうと口を開いたその時、「ん?」と来光くんが声を上げてその場にしゃがみこんだ。
「嘉正、今ライト付けて平気?」
「え? あ、うん。土蜘蛛の気配はないよ」
「オッケー」
ポッケから取り出したスマホのライトを付けた来光くん。照らされた場所を背中越しに覗き込み、小さく息を飲んだ。
血痕だ。
線をなすように等間隔に丸い血痕が落ちていて、それをなぞるようにライトの光を当てれば扉へと続いていた。
「襲われたのは廊下だって言ってたよね?」
「ああ、間違いなく」
なるほど、と来光くんがメガネのブリッジを押さえた。
「廊下で襲われて皆ともはぐれて、彼女はこの部屋に逃げ込んだ。それで暫くやり過ごしたあと、逃げようとしてここから出たんだよ。つまりこの血痕を辿っていけば────」
みんなが顔を合わせて身を乗り出した。
「彼女を見つけられる……!」
うん、と得意げに笑った。やるじゃん来光、と嘉正くんが背中を叩く。赤い鼻を啜った来光くんは「慶賀からよく『名探偵コラン』の漫画借りて読んでたんだよ」とはにかんだ。
それじゃあ行こう、と来光くんがスマホのライトで血痕を照らした。との様子を伺った嘉正くんが慎重に扉を開く。
扉の向こうには、滲んだ血痕が確かに続いていた。



