男の子の傷口が、乳白色の淡い光を発した。暗紫の靄を包み込むようにして光が広がっていき、光がなぞった傷口部分がゆっくりと塞がっていく。
ぽかんとその光景を見ていた男の子が私を見上げた。
「傷口を塞いだだけだから、具合が悪くなったら病院に行ってね」
まだ呆然としている男の子は私の顔を凝視したあと「女神さま……?」と口を動かした。
こんな緊急事態になんて能天気な。
額を抑えてため息を着くと、立ち上がって振りかえる。
「恵衣くん治療終わった!」
「よし。こっちに連れてきてくれ」
振り返ると来光くんが姿くらましの御札を彼らの背中に貼り付けているところだった。
いま彼らだけで家に返すよりも、一旦神職様たちが来るまで隠れさせて保護してもらう方が安全だと判断したのだろう。
「もう……せっかく用意した大事な御札があと2枚なんだけど! 夜中に子供が出歩くなよ!」
よほど御札を使ったことが気に入らなかったらしい、珍しく悪態をついた来光くん。
たしかに苦労して作ってたもんね……。
「お、お前だって子供じゃねーか!」
抗議する男の子をひと睨みして黙らせたのは恵衣くんだ。
「とにかくそれを付けてれば姿を隠せる。紫色の袴を履いた大人が来たら、お互いにそれを外して助けを求めろ」
「ねぇ凛花は!? 凛花も助けてくれるよね!?」



