言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー



「本当は鬼脈でショートカット出来ればいいんだけど、俺らお尋ね者だもんね」


かむくらの社へ続く石階段を降りながら、嘉正くんがそう零す。

正確には「俺ら」ではなく「私が」なのだけれど、きっと気を遣ってくれたのだろう。

芽さんが私に懸賞金をかけたことで悪いことを企む妖たちがこぞって私のことを狙っているらしく、前に鬼脈で迷子になってしまった原因も黒狐(こっこ)に私の正体がバレてしまったからだ。

恣冀(しき)から詳しい話を聞き出して、志ようさんが眠っているおおよその位置は特定できた。現在生霊の姿である恣冀はかむくらの社以外の場所には移動できないらしいので、一旦別れて近くで合流することになった。

そこまでは徒歩と交通機関での移動だ。

沈む夕日から、前を歩く背中に視線を移す。

真剣な顔をして来光くんと何か話し合っている横顔に頬が熱くなり、胸に手を当てて小さく息を吐いた。

いつからこの感情が芽生えていたのかは分からない。でも恐らく、もうずっと前から私は恵衣くんのことが好きだったのだと思う。

気付いてしまった今、どういう顔をして何を話せばいいのか分からなかった。

こんな状況なんだ、浮ついたままじゃ皆を危険に晒してしまうかもしれない。気を引き締めないと、と自分を叱責して両頬を叩いた。


全ての結界から抜け出す頃にはどっぷり日が暮れていた。

月が登れば、そこからは妖たちの時間だ。