言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー



守られるだけの存在なんかじゃない。皆は隣に立って一緒に戦う仲間だ。だからこそ、怖くなかった。

志ようさんのがどのような最後を辿ったのかを聞いて、自分が同じ運命を辿るかもしれないと気付いた時も、自然と落ち着いていられた。

恵衣くんが、皆が、仲間だから。


「だから……空亡を倒す別の方法を、一緒に探してくれる?」


目元を真っ赤にした恵衣くんがくしゃりと顔を歪めた。

次の瞬間、私の手首を掴んで勢いよく自分の方へ引き寄せた。何が起きたのかを確認するよりも先に、心地よい温もりに包み込まれる。

お兄ちゃんよりも背が低くて、禄輪さんよりも薄い胸。背中に回された手はどこか遠慮気味で、でも確かに私を抱きしめている。安心できて、やけにドキドキして、胸が痛いくらいに苦しくて。

溶けてしまいそうなほど身体中が熱いのに、ちっとも嫌な感覚じゃない。

むしろずっとそうしていたいと願ってしまうような安らぎと、幸福感。


「絶対に方法を見つけてやるから、信じて待ってろ」

「違うよ、私も一緒に探すの。待ってるだけは嫌だよ、隣で戦うって決めたんだから」


そうだったな、と耳元で小さく笑う声が聞こえた。

耳たぶにかかる吐息がくすぐったくて、その擽ったさに無性に泣きたくなった。


「恵衣ー? 巫寿ー? どこ行ったー?」


玄関の方から私たちを探す嘉正くんの声がして、恵衣くんは弾けるように身体を話した。

表情を確認するまでもなく、私に背を向けると大股で玄関へ歩いていく。

後ろから見えた耳が真っ赤だったので、多分今の私と同じ顔をしているのだと思う。


空気が抜けるようにその場に座り込んだ。膝に顔を埋めて深く息を吐く。



ああそうか、私────恵衣くんが好きなんだ。