言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー



天清浄(てんしょうじょう) 地清浄(ちしょうじょう) 内外清浄(ないげしょうじょう) 六根清浄(ろっこんしょうじょう)と 祓給う……」


恣冀(しき)が目を見開き振り返ると同時に、居間の障子がカタンと揺れる音がした。

目を向けると障子に手をつき呆然と私を見つめながら立ちすくむ恵衣くんがいた。


「え、恵衣くん?」


恐る恐る名前を呼ぶ。ハッと我に返った恵衣くんは転がるように中へ入ってくると、私の前に膝をつき強い力で両肩を掴んだ。


「絶対に駄目だ。それだけは奏上するな、何があっても絶対にそれだけは駄目だッ!」


鬼迫迫る勢いで捲し立てられて、何が何だか分からず名前を呼んだ。


「ちょ、恵衣どうしたんだよ?」

「とりあえず落ち着きなって」

「うるさいッ!」


まぁまぁと宥めようと腰を浮かせた二人を怒鳴りつけた恵衣くんが私の肩を激しく揺らした。


「絶対に審神者と同じ道は辿らせない、何のためにここまで来たと思ってるんだ!」


不安に揺らぐ瞳、縋るような声、震える指先。

最強の妖空亡に重傷を追わせることができた理由、志ようさんが恣冀(しき)に「体を守れ」と言った理由、体が呪物になった理由。

私が知らない祝詞を知っていて、恵衣くんがらしくないほど取り乱している理由。


全てがパズルのピースのようにカチッと合わさって繋がっていく。


「もしかして、電話の相手は泰紀くんだった? 志ようさんが最後に奏上した祝詞について、聞いたんじゃない?」


項垂れる恵衣くんの肩がぴくりと震える。