その時、着信を知らせる軽快なメロディが流れて、皆は猫のように飛び上がった。びっくりした、と心臓を抑えて深く息を吐く。
俺だ、とポケットをまさぐってスマホを取りだしたのは恵衣くんだった。
「大事な話してんだからマナーモードにしときなよね」
「久しぶりに着信音聞くとびっくりするね」
はぁー、とため息を着いた皆に「悪い」と小さく手を挙げた恵衣くんが立ち上がって居間を出ていく。
その背中に二人はまるで恐ろしいものでも見たかのように目を見開き言葉を失っている。
「恵衣がサラッと謝った……」
「明日、地球が滅びるのか……?」
失礼極まりないけれど、その気持ちは分かる。
こほん、と咳払いした嘉正くんが姿勢を正した。
「もろもろ気になる部分は一旦置いといて、審神者の体は今どこにあるの?」
「現世だ。君は自分の体が呪物として利用されないように、事前に多重の結界を張った隠し場所を用意した」
「なるほど、だとしたら保存の結界も張ってあるのかも」
険しい顔で俯いた恣冀は堪えるように腿の上で手を握りしめた。
ん?と今度は私が首をひねる。
いま、呪物として利用されないようにって言った? それじゃあまるで、志ようさんの体が呪物になっているみたいな言い方じゃないか。
体が呪物、なんだか心当たりがあるような響きより一層首を捻る。
体が呪物、体に呪い、体の中に呪い────。
"穢れを己の中に取り込んで言祝ぎで浄化する祝詞だ。"
自分がなんとなく奏上した祝詞が、とても危険なものであると教えてもらったのは1年生が終わった春休みだった。



