言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


眞奉に頼んで他のみんなを居間に集めてもらった。

ドタバタと駆け込んできたみんなは、濡れ縁でぼんやりと宙を眺める恣冀(しき)の姿に驚いたものの、すぐに状況を察して席に着いた。


「────つまり、前審神者が最後の祝詞を唱えたあと、白虎が審神者の体を持ち去り、今もその体を守っていると」


私の拙い説明をとても簡潔に纏めてくれた恵衣くんは、確認するように恣冀(しき)を見た。

ああ、と恣冀は静かに頷く。


「審神者は今どういう状態なんだ」

「あの日以降、一度も目を覚ましていない」


一度も目を覚ましていない、つまりそれほど酷い怪我を負っているのだろうか。

ちょっと待って、と手を挙げたのは顎に手を当てて聞いていた嘉正くんだ。


「それ、おかしくない? 前審神者が亡くなったとされるのは空亡線の終盤、十数年前だよ。医療機関にかかっていないのだとしたら、白虎一人でそんな状態の人間を世話できるとは思えない」


言われてみればそうだ。

目を覚ましていない状態ということは、間違いなく看病が必要な状況だ。それを医療の専門家ではない恣冀(しき)が一人でどうこうできるとは思えない。


「君は俺に、自分が倒れたあとの肉体を守るようにだけ言いつけた。世話はしなくていいと」


うん?とより一層難しい顔をした嘉正くん。

世話はせず守るだけでいい? 一体どういうことだ?