言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー



「審神者は今どこにいるの? もしかして巫女鈴を持っているんじゃない?」

「鈴……ああ」


ぼんやりとした表情でそう呟いた恣冀(しき)。その声色には確かに心当たりのある音が含まれていた。

生唾を飲み込む。背筋に緊張の汗が流れた。

やっぱり、御覇李鈴(おはりのすず)は志ようさんが盗んで、志ようさんが隠し持っている。

早る気持ちを必死に堪えて静かに恣冀に歩み寄る。彼のそばに膝をついた。

ゆっくりと彼の肩に伸ばした手は、まるで煙に触れるようにその方を通り抜けた。


「あなたと審神者は、今どこにいるの」


琥珀色の瞳が私を見上げ、絶望の色が深くなった。その瞳は「答えて何になる」と私に訴えかけている。

恣冀は何も答えなかった。

固く心を閉ざし、誰も寄せ付けない雰囲気を纏っている。

でも、本当に心を閉ざしているのだとしたら、私の前には現れなかったはずだ。でも彼はここに来た。つまり、何か伝えたいことがあるからだ。

次に恣冀がいつ現れるかなんて分からない。なんとしてでも、今この瞬間に聞き出さなければならない。

なんとかして、彼の心を。


「……ッ、審神者から伝言を預かってる!」


恣冀の瞳が激しく揺らいだ。

半分嘘じゃない。私の中にある恣冀への感情は、同じ宿命で繋がっている志ようさんのものだ。


「ごめんね、貴方が大切だよ、忘れないよ」


驚きで見開かれた目がじっと私を見上げる。