じゃんけんで負けた私が洗い物を担当し、他のみんなはまた敷地内の調査を再開した。
食器棚は使いやすいように整頓されていて、志ようさんや十二神使たちがここで暮らしていた様子が目に浮かぶ。
空亡戦の終盤、志ようさんは使役していた十二神使たちと結びを切って、次々と御祭神さまの元へ返してしまった。眞奉は別の形をとって現世に残ったけれど、そのうちの一人だ。
けれど後になって、再び十二神使を顕現させている。
理由があって十二神使を返したはずなのに、なぜまた顕現させたのだろう?
妹の志らくさんが受け取った手紙のことを思い出す。
気丈に振る舞う手紙には、孤独や重責に震える一人の女性の心情が綴られていた。
志ようさんはこの場所で、何を思い何を感じながら暮らしていたんだろうか。
「よし」
片付いた食器棚にひとつ頷き台所を出た。
居間に続く廊下を歩きながら、差し込む柔らかい春の日差しに目を細める。鎮守の森で囲まれているけれども、この敷地内はどこにいても心地よい日差しが入り込んでくる。
日当たりが良い場所は良い気で満ちている。神聖な場所だからそういう作りなんだろう。
そういえば幼い頃に、ここの濡れ縁で丸まって昼寝をしたことがあるような気がする。
そんなことを思い浮かべながら角を曲がったその時────眩しいくらいに輝く白を見た。
木漏れ日を受けて輝く白髪、透き通るように白い肌は内側から発光しているようだった。目を閉じ、顔中に日差しを浴びるように上を向いて、静かに座っている。



