顎に手を当てた嘉正くん。
「でもさ、そこに行ったとして白虎に繋がる手がかりがあるとは思えないんだけど。そこから気配や匂いを辿るにしても、もう十数年前のことだし厳しいんじゃない?」
部屋の隅に座っていた騰蛇にみんなの視線が向けられる。
「……猫の血が混じっている白虎ならまだしも、私は蛇です。十数年前の匂いを辿ることは不可能かと」
恵衣くんは苦い顔をして黙り込んだ。
「でもそれ以外に手掛かりがないだろ。審神者と白虎が暮らしていたかむくらの社に行ければ、もっと情報があるかもしれないが」
「確かにかむくらの社なら手掛かりがありそう。審神者が最後に奏上した祝詞についてとか」
「でも、かむくらの社への行き方は極秘情報だからねぇ。イチから探し出すとなると、それこそ目を瞑って針に糸を通す方が簡単だよきっと」
はぁ、とみんなの重いため息が重なるなか、すごく気まずい気持ちでそろりと手を挙げる。
「どうしたの巫寿ちゃん」
「あの……私かむくらの社への行き方、知ってる」
数十秒の沈黙の後ガタガタッとテーブルが揺れてみんなが目を剥いて身を乗り出した。
「巫寿それどういうこと!?」
「数回禄輪さんと行ったことがあって、多分行き方も覚えてると思うんだけど……」
「数回行ったァ!?」
みんなの仰天具合に、泊まったことがあるというのは言わずに胸に秘める。



