言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


翌日、居間で朝食までの時間を潰していると「おはよぉ……」と壊れたリコーダーのような濁声で来光くんが起きてきた。


「ちょ、来光その声大丈夫? ガスガスじゃん」


お茶を啜っていた嘉正くんがゴホゴホと噎せながら心配そうに尋ねた。


「出目金みたいな目してる嘉正に心配されてもね」

「はは……それもそうか」


パンパンに目を腫らした嘉正くんが苦笑いで肩を竦めた。

笑いながら私たちの前に腰を下ろした来光くん。新聞を読んでいた恵衣くんがバサバサとそれを畳んで顔を上げた。

充血しきった目に、二人は顔を合わせて小さく笑う。


「進む、でいいんだな」


恵衣くんは「何が」とは言わなかった。それでも私たちには十分に伝わった。皆が力強く顎を引く。

涙はまだ乾いていない。きっとふとした時にまた溢れ出すだろう。すぐに気持ちを切替えることは出来ないかもしれない。けれど前を向いて進む。

それが残された私たちにできる、彼らの死を無駄にしない唯一の方法だから。


「次は白虎を探すんだよね。最後まで審神者のそばに居た十二神使の白虎から、鈴の在処を聞き出す」

「そうだ。ただ現状白虎がどこにいるのか分からない以上、目を瞑って針に糸を通すのと同じだ。だからまずは審神者の最後の行動を辿る」


テーブルの上に無造作に置かれていたタブレットを立ち上げた恵衣くんは地図アプリを広げるとある山を拡大した。

トントン、と爪で指し示す。


「審神者が最後に現れた場所、つまり空亡戦の最終決戦の地だ」