揺るがない瞳が私を射抜く。体の芯がぶわりと震えた。
しなやかな指が私の頬を撫でて、頬の涙をぬぐいとる。その手のひらはどこまでも優しく、包み込むように温かい。
「前に飯屋で、巫寿が言ったんだろ。"自分の命を諦めるようなことを言うな"って。俺だって同じことを言う。俺だって、巫寿がいないと辛い。────頼むから、自分の命を諦めないでくれ」
口が悪くて、不器用で、ありがとうとごめんなさいが下手くそで。それなのにいつも、欲しい言葉をくれる。ずっと寄り添ってくれる。
その優しさに私は何度も何度も支えられ、救われてきた。
「言祝ぎを口にしろ。きっと上手くいくって。そう強く願って、未来を見ろ」
私の頬に触れるその手に、自分の手を重ねた。
「……きっと、上手くいく」
「ああ。上手くいく」
恵衣くんがふっと微笑んでひとつ頷く。
「みんなで一緒に、未来を生きる」
それは願いであり、祈りだった。
「ああ。ずっと一緒だ」
縋るようにその手を握った。
瞳の奥に、光が揺れる。それは涙というより、凍っていた水がゆっくり溶けていくような鈍い反射だった。



