「自分が神々廻芽のところに行けばいいって、行ってアイツに殺されてそれで一件落着だって、そう思ってんのか!?」
肌がビリビリと痺れるほどの怒りを含んだ声。それなのに今にも泣きそうなほど鼻は赤く、情けないほどに眉尻が垂れ下がっている。
「二度とそんなこと言うなッ! お前は聖仁さんや慶賀の死を無駄にするのか!?」
その一言にカッと頭に血が上ってお腹に力が入った。
その胸板をどんと叩いた。ビクともしない。何度も何度も叩いた。
「無駄になんて、するわけないでしょ……ッ! でもこのままじゃ確実に私たちが負ける。次は嘉正くんかもしれない、来光くんかもしれない。恵衣くんかもしれない。そんなの耐えられない。もう私は、大切な人の命がこの手から零れていくのを、見ていられないッ」
頬を叩かれたような傷付いた顔をした恵衣くんに、たまらなく喉の奥が熱くなる。
そんな顔しないで。恵衣くんが泣いている姿を見るのが辛い。傷ついてほしくない、ずっと笑っていてほしい。
守りたい。みんなを守りたい。でも私にはそれが出来ない。それを出来るだけの力がない。
「零れた分を拾うために、俺たちがいるんだろ」
ハッと顔を上げた。恵衣くんの頬につうと一粒の雫が流れた。
「頼むから、一人で戦おうとしないでくれ。俺たちを頼ってくれ。神修を発ったあの夜、全員腹を括ったんだ。どんなに厳しい旅になろうとも、この全員で戦うって。仲間だから、お前が大切だから」



