このまま進み続ければ、間違いなく自分たちの命は危険に晒される。
それでも本当に進み続けられる? 大切な人たちを守るために、自分の命をかけられる?
覚悟を決めて神修を発ったはずなのに、仲間の命がちる瞬間を目にした途端、押さえ込めていたはずの恐怖心が固めたはずの決意を飲み込んだ。
聖仁さんや慶賀くんの死には、どういう意味があった?
皆を守るために犠牲になった二人、その死はきっと美化される。けれど二人の死は決して正しいものでも美しいものでも無い。奪われるべきではない命が奪われたのだから。
私たちは強くない。芽さんたちと戦えば、間違いなく負ける。負ければ死。今度は私かもしれないし、他のみんなかもしれない。
今私たちが戦わなくても、いずれ戦うことになる。だったら私たちよりも強い禄輪さんや薫先生に助けてもらった方がいいんじゃないだろうか。
……いいや、それじゃダメなんだ。芽さんが狙っているのはあくまでも私。これ以上はみんなを巻き込めない。
ただでさえ恵衣くんたちを巻き込んでしまっているんだ、これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
これ以上の負の連鎖を止めるには。
もう、私が。
「……私が、芽さんのところに行けば」
カシャン、と食器が割れる音がしてハッと顔を上げた。
部屋の入口に呆然とした顔で立ちすくんでいる恵衣くんがいる。片手にはお盆が握られており、足元には割れた湯のみが二つ転がっていた。
「お前、今、なんて言った」
震える声で尋ねられた。
気まずさに顔を背けると、顔を真っ赤にした恵衣くんが大股で部屋を横切った。私の前に膝を着くと痛いくらいの力で両肩を掴まれる。
その瞳は激しい怒りの色に染まっていた。



