自分にも何かできることはないかと考えて、群生していたシロツメグサで小さな花束を作った。
草の香りを強く含んだ青い風が吹き抜けて顔をあげる。山の中腹にある草原は開けていて、山間を細い川が流れている。川面には美しい山の景色が反射して輝いていた。
シロツメグサの花束を胸に引き寄せて唇を噛んだ。
川に背を向けて歩き出す。
どれだけ綺麗な景色を見ても、少しも心は癒されない。
小高い丘のように盛り上がった場所に皆がいた。
皆は地面に膝をつき、スコップで土を掘っていく。言葉を交わすこともなく、淡々と穴を掘って、時折泣くのをこらえるようにぎゅっと眉間に皺を寄せて必死に手を動かしていた。
その傍で、タオルの上に横たわるその人のそばに膝を着いた。人形のように冷たく、金属のように硬くなった手にそっと触れ作った花束を握らせる。
指の間にまだ血の後が残っていることに気づいて、持っていた手のぐいで優しく擦った。硬直が始まった体は思うように動かず、固まった血液は上手く取れなくて、気付けばまた涙が零れていた。
「そろそろ埋めよう」
口を開いたのは嘉正くんだった。窪みからはい出てきたみんなは土まみれで、それを拭うこともなく集まる。
みんなが膝をついて、横たわるその顔を覗き込む。その目は真っ赤に腫れていて、悲しみの深さを物語っていた。
「慶賀、ここいい景色でしょ。庭園を流れてる小川に似てる川が、この下に見えるんだ。ほら、俺らの溜まり場の」
来光くんが、慶賀くんの乱れた前髪を整えながら語りかける。返事のない語りかけは直ぐに風に溶けていく。それがより一層心の奥の虚しさを大きくした。



