言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


身体に取り込んで、不浄を浄化?

なぜか引っかかるものがあり顎に手を当てて首をひねる。


「それ、どんなやつか分かるか?」


鶴吉に尋ねると「どんなだっけなぁ」と首の後ろをさする。


「確か────天清浄(てんしょうじょう) 地清浄(ちしょうじょう) 内外清浄(ないげしょうじょう) 六根清浄(ろっこんしょうじょう)と 祓給う……みたいな?」


そこでハッと思い出した。

あれは一年の一学期、校内で空亡の残穢が封印された場所へ偶然たどり着いてしまった時のことだ。

クラスメイトたちが残穢にあてられバタバタと倒れていき、自分も薄れゆく意識の中で、一人凛と立ち向かい祝詞を奏上する背中を見た。

クラスメイトたちは気を失っていたからか、小さな体に渦巻く残穢が吸い込まれていく様は自分しか見ていなかったし、なんならそれも夢か何かだと思って口には出さなかった。

あの時巫寿が奏上したのが、天地一切清浄祓だったんだ。


「これ……どうすりゃいいんだよ」


そう呟いた泰紀の声は誰にも拾われず消えていく。

身体に不浄を取り込んで、自分の言祝ぎと相殺させる祝詞。それを相乗した審神者は、その後死亡した。

つまりこれを奏上した人間は、空亡の力を上回るほどの言祝ぎを持ち合わせていなければ死ぬということだ。


「こんなん、あいつらに教えられねぇよ……」


目の上に腕を乗せて天を仰ぐ。

脳裏に浮かんだのは教室で笑い合うクラスメイト達の横顔だった。