「そいつを許すってことは、その罪自体を許すってことだ。罪が許されたらルールは意味を持たなくなる」
慶賀が本庁に捕まって、罪が少しでも軽くなるように嘆願書を書こうかという話にもなった。けれど沢山話し合った末嘆願書は書かず、いつか慶賀が帰ってくる日を静かに待つことに決めた。
犯してしまった罪は消えない。消してもいけない。罪を許してしまえば、反省する機会を奪うことになる。
「俺たちができるのは、そいつをずっと許さないこと。そして二度とそいつが同じ過ちを繰り返さないように、できることを考えて、寄り添い続けることだ」
慶賀がまたここに戻ってきたいと願うなら、自分はなんだってする。どうすれば解決するのか、どうすれば上手くいくのか、一緒になって考える。
それが神職の役目、見守り導くということ。親友の俺にできることだ。
無性に泣きたくなった。喧嘩別れしたことがずっと心に引っかかっていたらしい。
双子に涙を見られるのが恥ずかしくて、額の汗を拭うふりをして頬の雫を手の甲で擦った。
文車妖妃が棚の上からふわりと飛び降りて三人の前に降り立った。
「神職は導く者。導くという意味を履き違えてはならぬ。時には目を逸らしたくなる事実を突き付けねばならん時もある。お前にはその覚悟が、あるようだな」
目の前にペンダントのように紐で吊るされた長方形の木札が差し出された。
え、と三人は目を瞬かせて文車妖妃とそれを見比べる。



