言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


だから決めていた。もしあいつが俺たちの所へ帰ってきたら。神妙な顔をして縮こまりながら、俺たちの顔色を伺った日には、俺は。


「……俺が、答える」


双子が驚いた顔をして泰紀を見た。

これまでどの質問にも不安げな顔をしていた後輩が、自ら答えると前に出た。その顔に迷いも曇りもなく、あるのは揺るがない眼差しだった。

双子は茶化さなかった。ただ泰紀にひとつ頷き、その背中をそっと叩く。


俺はもう、間違わない。俺はもう、迷わない。

俺が何をすべきかは、たった一つだ。


「俺はそいつの罪を暴いて、罰を受けさせる」


文車妖妃の赤い唇間から真っ黒な歯がちらりと見えた。奇妙なほど目を弓なりにさせて、楽しげに肩を揺らす。


「そいつが家族や、そいつ自身の言霊の力を、人質に取られていようとか? やむを得ない哀れな事情があってもか?」

「ああ」

「ほう……神職というのはもっと慈悲深い生き物かと思っていたがどうやらお前は違うらしい。────お前がそう答えた理由を聞かせてみよ」


その時に気づいた。

これは神職としての覚悟を試す試練であると共に、自分の弱さや恐れに向き合う試練なのだと。

厳しい状況を前にして、それに怯み、恐れ、踏みとどまってしまう自分を認め、それでも正しい道を選び取りその先へ進めるか。

それが神職としての覚悟があるかどうかなんだ。