担任がどうしようもない人間だということはさておき、二問目の答えも無事認められた。残すはあと一問だ。
少しは自分も役に立てるだろうか、なんて考えていたけれど双子に全て任せた方が良さそうだ。
「最後の問答だ。よいな」
文車妖妃は双子ではなく、泰紀を見ていた。「え、俺?」と戸惑いながらもひとつ頷く。
どうせ答えるのは双子のどちらかなのに。
文車妖妃の視線が刺さる。
「同胞の一人が裏切ったとして、お前はそれを知っている。同胞はやむを得ぬ理由で裏切っていたとしたら────お前はその者をどうするか?」
情けないほどボロボロと涙を零して、それでも自分の運命を受け入れる用に笑う親友の顔が脳裏に浮かんだ。
『ごめん。でも、こうするしかなかったんだ。俺はもう、そっちには戻れないよ』
震えながらそう零したその時、あいつは何を考えていたのだろう。
物心着く前から親友で、お互いの尻にホクロがあることもお互いのエロ本の隠し場所もオネショして叱られた回数も、お互いのことならなんだって知ってる。
隠し事はない。兄弟であり競争相手であり、かけがえのない親友だったから。
そんなあいつが初めて俺に隠した胸を締め付ける事実と、許されない嘘。
裏切られたことへの怒りと同じくらい、自分を罵った。あいつを救えたとしたら、間違いなく俺だった。ずっとそばに居たのに、気付けなかった。
もしも俺がなにか気づいていれば、あいつは罪を犯すことも、道を踏み外すことも、裏切りを選ぶこともなかったのかもしれない。
そう考えれば考えるほど自分の愚かさに腹が立って、何度も何度も壁を殴った。



