🐾
「だから……ムーだって、望んでないニャ。お前が元気じゃなくなることなんて」
ザラメとメアリーの思い出を聞いて、私も福田さんも涙腺が崩壊してしまった。
だけどやっぱり猫だなあとも思った。
「だから……食欲がなくなるくらいなら、忘れたほうがいいニャ」
ザラメも涙声だ。
「……ザラメってDJのくせに言葉足らず過ぎる」
鼻をすすりながら言うと、ザラメは「うるさいニャ」と膨れる。
「だけど、それってそう意味じゃないよ」
「ニャ?」
「メアリーは、本当は忘れないでいて欲しいのよ。だけど、ザラメのことが大切だから、ザラメが元気でいるのが一番だって言ったの。人間って、そういうものなの」
そっとザラメの頭をなでたら、ふるふると小刻みに震えている。泣いているんだ。
「いいなぁ」
福田さんがポツリとつぶやいた。
「メアリーさんはザラメさんとお喋りできたんだ。私もムーとお喋りしてみたかったな。そしたらもっとわかってあげられたのに……ムーのこと……」
「わかり合えていたんじゃないですか? 福田さんとムーは」
私の言葉に、彼女はこちらを見る。
「この前見た絵からは『福田さん大好き〜!』っていうムーの気持ちがたくさん溢れていましたよ」
楽しそうな表情だけじゃなくて、不満そうな顔も、びっくりした顔もとらえた絵からは、ムーが福田さんに心を開いていたことが伝わってきた。それはすなわち、彼女の愛情だ。
「……そ、そうでしょうか」
「はい」
「……そうでしょうか……」
しゃくり上げる福田さんに、私はコクリと深くうなずいてみせた。
「お、俺で良かったら、もう一度話を聞いてやってもいいニャ」
ザラメはいつの間にかメインDJの席に座っている。
私と福田さんは顔を見合わせてクスリと笑った。
「ムーのこと、たくさん思い出して、話して、元気を出してください。ムーだってきっとその方が嬉しいです」
福田さんは涙目のままニコリと笑うと、ゲストの席に座った。
「じゃあ、番組始めまーす」
シナモンの声がして、私も機材スペースから二人を見守る。
それから三十分ほど、ザラメと福田さんはムー、それにメアリーのことを楽しく聴かせてくれた。
「だから……ムーだって、望んでないニャ。お前が元気じゃなくなることなんて」
ザラメとメアリーの思い出を聞いて、私も福田さんも涙腺が崩壊してしまった。
だけどやっぱり猫だなあとも思った。
「だから……食欲がなくなるくらいなら、忘れたほうがいいニャ」
ザラメも涙声だ。
「……ザラメってDJのくせに言葉足らず過ぎる」
鼻をすすりながら言うと、ザラメは「うるさいニャ」と膨れる。
「だけど、それってそう意味じゃないよ」
「ニャ?」
「メアリーは、本当は忘れないでいて欲しいのよ。だけど、ザラメのことが大切だから、ザラメが元気でいるのが一番だって言ったの。人間って、そういうものなの」
そっとザラメの頭をなでたら、ふるふると小刻みに震えている。泣いているんだ。
「いいなぁ」
福田さんがポツリとつぶやいた。
「メアリーさんはザラメさんとお喋りできたんだ。私もムーとお喋りしてみたかったな。そしたらもっとわかってあげられたのに……ムーのこと……」
「わかり合えていたんじゃないですか? 福田さんとムーは」
私の言葉に、彼女はこちらを見る。
「この前見た絵からは『福田さん大好き〜!』っていうムーの気持ちがたくさん溢れていましたよ」
楽しそうな表情だけじゃなくて、不満そうな顔も、びっくりした顔もとらえた絵からは、ムーが福田さんに心を開いていたことが伝わってきた。それはすなわち、彼女の愛情だ。
「……そ、そうでしょうか」
「はい」
「……そうでしょうか……」
しゃくり上げる福田さんに、私はコクリと深くうなずいてみせた。
「お、俺で良かったら、もう一度話を聞いてやってもいいニャ」
ザラメはいつの間にかメインDJの席に座っている。
私と福田さんは顔を見合わせてクスリと笑った。
「ムーのこと、たくさん思い出して、話して、元気を出してください。ムーだってきっとその方が嬉しいです」
福田さんは涙目のままニコリと笑うと、ゲストの席に座った。
「じゃあ、番組始めまーす」
シナモンの声がして、私も機材スペースから二人を見守る。
それから三十分ほど、ザラメと福田さんはムー、それにメアリーのことを楽しく聴かせてくれた。



