自分がこの星に生まれた理由を考えてみるとする。
「先輩、名残惜しいけどオレ帰ります」
「おう」
「そんな寂しそうな顔しないでくださいよぉ」
「してねーよ」
「じゃ最後にもっかいキスしていい?」
「じゃあってなん……」
「やりー」
「……許可とんなら返事待てよバカ」
ここじゃない星に生まれていたら。
昼間に満点の星空が見えるような珍しいことが当たり前に扱われる場所だったら。
今より生き易かったんだろうな思う。けれどもその場合、この変な男に絆される、なんてことはきっとあり得なかった。
「え! 先輩見て、めっちゃ星キレーだ」
「……うん」
「あ。また可愛い顔してる」
「してねえ早く帰れ」
遥と俺は今、確かに同じ星を生きている。
完



