ただ、君に笑っていてほしかった。~30日の奇跡と、空白の19日の秘密~

 映画館は、平日だったからか、すごく空いていた。
 ……どんな映画かは、秘密。
 でも、すごく面白かった。
 また、市内を散策する。
 特に、変わったものはない。
 至って普通の町だ。
「……葉月(はづき)っ」
雪宮(ゆきみや)……』
 いつの間にか、こんな時間になっていた。
「もう。……探したんだよ、全然来ないから」
 そういえば、学校に行くんだった。
 と今更思い出す。
 でも、ちょうど学校の近くに来ていたみたいだ。
「行こっか、葉月(はづき)
『……うん』
「最近、風邪流行ってるんだって。クラスメイトも、何人か休んでたし。気を付けないとなー。……せめて、葉月(はづき)と一緒に過ごせる時は」
 駅に向かう。
 雪宮(ゆきみや)は、少し前を歩いていた。
 ポツポツと雨が降ってきた。
 カバンの中から、傘を取り出す雪宮(ゆきみや)
 徐々に雨が強くなってくる。
『……あなたが好きです』
 思わず声に出してしまっていた。
「ん?なんて?なんか言った?」
 ほっと胸を撫で下ろす。
 良かった。
 聞こえていなかったみたいだ。
『あ……。ううん。なんでもない』
「そっか……」
 ……俺、なんてこと言ってるんだろう。
 俺がこの世から消えるまで、雪宮(ゆきみや)と一緒に行動しないといけないのに。
 その関係を壊すようなこと……。