ただ、君に笑っていてほしかった。~30日の奇跡と、空白の19日の秘密~

 街を歩いていると、意外と多くの幽霊と出会う。
 制服を着ていたり、私服だったり、スーツだったり。
 小さい子から、お年寄りまで。
 小さい子のそばには、いつも大人がいる。
 一人だけだと、心配なんだろうな。
 天音(あまね)さんのような格好の人だ。
 小さい子には、お世話係がつくんだろうな、と思う。
『……まあ、そんなこと、俺には関係ないか』
 もう高校生だし。
 ……と、俺の横を通り過ぎたカップルの会話が耳に入り、あることを思い出した。
『そうだ。映画……』
 死ぬ前に、観たいと思っていた映画があった。
 なんとなく、気になっていた。
 ……それを観に行こう。
 死ぬから観れない、って諦めていたけれど、幽霊になったんだから観に行ける。