ただ、君に笑っていてほしかった。~30日の奇跡と、空白の19日の秘密~

葉月(はづき)?おはよう」
『お、おはよう』
「珍しいね。この公園にいるなんて」
『あー……。うん、まあ、なんとなく?』
 俺は、寝起きで意識がぼんやりとしたまま、雪宮(ゆきみや)の家の近くの公園に来ていたらしい。 
「……葉月(はづき)。今日はどうする?」
『今日は、その辺ぶらぶらしとくよ』
「そっか。分かった」
 雪宮(ゆきみや)は、駅に向かって歩いていく。
 その後ろ姿を見ながら、ふいに、後ろから視線を感じた。
『……人間ってさ、すごいよね』
『あ、天音(あまね)さん⁉︎』
 振り向くと、そこにいたのは、天音(あまね)さんだった。
『人間の誰かを思う強い気持ちは、運命さえも変えてしまうんだから……』
 一体、なにが言いたいのだろう。
『……君にも、いつか分かるよ』
 なにが言いたいのか、全く分からないまま、天音(あまね)さんは消えてしまう。
 俺は、その言葉の意味を、ずっと考えていた。