ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


ふたりは文句を垂れながらもずかずかと家に入ってきた。
そのまま俺の部屋までついてきて、勝手にベッドの縁やイスに腰を下ろす。

「塾サボってきたんだけど」
「なんでだよ」

「僕も友達とカラオケの予定蹴ってきたんだから感謝してよね~」
「いや、だからなんでだ」

急にたずねてきた予定を蹴ってきたなんて言われても意味が分からない。

「いや、どう考えても碧斗と凪のことでしょ」

いきなり核心を突くような一樹の言葉に、俺は思わずたじろいだ。

「なんなわけ?ギスギスしちゃってさ、今日ふたり全然話してなかったよね?」
「そ、それは……」

俺が黙り込むと、悠馬がベッドの縁に座ったまま静かに口を開いた。

「凪が説明するまで、俺たちここから帰らないよ」

うう……。
まあ、そうだよな。

あんな雰囲気でふたりが気づかないわけないし……。

「……分かったよ、言う!言えばいいんだろ」

俺は観念して、重い口を開いた。