ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


もうあいつの過剰なスキンシップに悩まされることもないし、これからは女の子とだって自由に話せるし、いい人がいたらまたいつものように告白すればいい。
ハッピー青春ライフを送れるんだ!

それで終わりで別に……。

『……もう、いい。別れよう』

(やばい……俺、泣きそうなんだけど)

家に帰り、俺はベッドに倒れ込んだ。

別れようと言われた時、フラれたような気持ちになった。
あんなに別れたかったのに、いざ碧斗が離れていくと思うと俺は、どうしようもなく悲しくなってしまったんだ。

この気持ちがなんなのか俺には分からない。

――ピーンポーン。

するとふいに玄関のチャイムが鳴った。

こんな時間に誰だよ……。
母親は買い物に行ってしまったのか家には誰もいない。

俺は面倒に思いながらも玄関のドアを開けた。
すると、そこには悠馬と一樹が立っていた。

「よお」
「……お邪魔するよ」

「は?お前ら、なんで……」

ふたりは用事があるから先に帰ったはずだが……。

「なんでって言われてもね~」