「おい浅海、ぼーっとしている余裕があるなら次の問題、答えてみろ」
やべぇ!
焦った俺は、助けを求めるように無意識に碧斗の方を見てしまった。
いつもなら、碧斗が誰にも気づかれないように、そっと口の動きで答えを教えてくれていた。
だけど、碧斗はまっすぐ前を向いたまま俺の方を見ようともしない。
(そっか……)
「えっと……」
俺が立ち尽くしていると、教師の呆れたようなため息が聞こえた。
「お前なぁ、しっかり聞いとけよ」
けっきょく答えることはできず、俺は叱られて終わった。
ダチに無視されるってこんなにキツイんだな……。
なんかよく分からねぇけど泣きそうだ。
「はぁ……」
机に力無く伏せる。
どうしたらいいんだ……。
「凪、なんか死んでない?」
「……ほっといてくれ」
悠馬の声も、今は遠くに聞こえた。


