ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる



視線を逸らしてごまかした瞬間、ふと碧斗が教室に入ってきた。
やっぱり先に来てたのかよ……っ。

自分の席になに食わぬ顔で席る碧斗。
碧斗の席の横を通る。

なにか、なにか話を……。
俺は勇気を振り絞って碧斗の肩をポンっと叩いた。

「おい、碧斗……なんでおいてくんだよ!」

ちょっとふざけた感じで言ったら、碧斗もいつもみたいに話してくれるんじゃないか。

そう期待しておどけて伝えてみる。
しかし……。

「……なに?」

その目は冷たく俺を見下ろしていた。

「な、なにって……」
「授業をはじめるぞ」

すると先生が入ってきたため、俺は席についた。

朝の数学の時間。
俺はぼんやりと窓の外を眺めていた。

碧斗……まだ怒ってたな。
俺があんなウソをついて、あいつを傷つけたんだから当然か……。

謝りたいって思ってる。
でもどうやって謝ったらちゃんと伝えられるのか分からない。