ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


月曜日の朝。
俺は、家のドアを開けるのが怖かった。

いつもなら扉を開ければ碧斗が「おはよう」って身を乗り出してくる。
でも今日は、そこには誰もいない。

冷たい朝の風が吹くだけだった。

「……はぁ」

やっぱりいない、か。
だってあの後、メッセージを送っても帰って来なかったもんな。

分かっていたことなのに、胸がずきりと痛んだ。

なに期待してんだよ。
日を跨いだら碧斗がケロっとして来てくれるんじゃないか……なんて、自分に都合が良すぎる。

ひとりで歩く通学路は、やけに広くて静かだった。
その間もずっと碧斗のことを考えてしまう。

学校に行ったら謝る。
そしたら碧斗は許してくれるかな。

もし本気で怒ってて、俺とはもうしゃべりたくないと思ってたらどうしよう……。

ひとりの道はいつもより長く感じた。

ようやく学校につき、教室のドアの前を開ける。
すると俺が1人なのを見て、悠馬が不思議そうに言った。

「あれ~?今日碧斗と一緒じゃなかったの?」
「あ、いや……それは……ちょっとな」