ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


「……もう、いい。別れよう」

えっ……。
俺は頭の中が真っ白になった。

ずっと望んでいた言葉だった。
碧斗から「別れよう」って言わせるんだって意気込んで、それを実行するために今日もその行動をとったはずだ。

そしてその願いが今叶ったのに。

(なんだ……?胸が苦しい)

「あお、と」

「これが凪が望んでいたことだもんな。……無理矢理付き合わせてごめんね」

碧斗は力無く腕を下げた。

「待って、くれ……」

声が震える。
何か言え。
引き止めろ。

このままじゃダメだ。
分かっていてもその先の言葉が出てこない。

「もう話しかけないから安心して」

碧斗は最後に悲しげに伝えると、俺に背中を向けた。

「待てって……俺……」

引き止めようとするが、碧斗は一度もこちらを振り向かない。
そしてその場を立ち去ってしまった。


……終わった。
碧斗との特別な関係が。