ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


「来て」

俺は碧斗に手を掴まれ、人の少ない裏路地に連れていかれた。
碧斗……怒ってる。

手の掴み方がいつもより強い。
ここまで連れてくると、ようやく碧斗は手を離した。

「説明してくれる?」

碧斗がまっすぐに俺を見つめて言う。

「あ、いや……」

もうこれ以上、ウソを突き通すことは出来ない。
言うしかない……。

「その……合コン誘われてて……碧斗も誘ってて言われたんだけど……」
「俺には黙ってたんだ」

突き刺さるような視線が痛い。
空気が重い……。

どうしよう。
どうにかこの空気を変えなくちゃ。

俺はこの重圧に耐えきれず、わざ茶化すような口ぶりで言った。

「あー、悪かったよ!お前もやっぱり行きたかった?今日かわいい子多かったもんなあ」

「凪」

──ビクッ。

「俺が本当に女子と合コンしたくて怒ってると思ってる?」

地をはうような低い声。
いつもの優しい碧斗の姿はここにはない。

「だとしたら陽は俺の気持ち、全然分かってない」