ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


そして奥にいた俺と目が合った。

「……凪?」

その瞳が何かを探るように俺を捉える。
やめろ、見ないでくれ。
俺の心臓が嫌な音を立てる。

「だって凪くんが言ってたよ? 久遠くん急に熱出しちゃって来れなくなったって」

ミナちゃんが不満げに口を尖らせる。

「そうそう!私たち久遠くん来るって聞いたから来たのにさー」
「こんな元気そうなら連絡してくれればよかったのに」

女子たちの言葉が鋭いナイフみたいに俺に突き刺さる。
終わった。
全部、バレた。

「……熱?」

碧斗が小さく呟く。
その視線がゆっくりと俺の方へ移動した。

「俺、聞いてないけど。どういうこと?」

女子たちが一斉に俺を振り返る。

「は? どういうこと?」
「凪くん、ウソついたの?」
「サイテー」

ヒソヒソと交わされる陰口。
普段なら傷つく言葉も、今はどうでもよかった。
ただ、碧斗の視線だけが痛い。

「凪」

碧斗が俺の前に立つ。
逃げ場なんてどこにもなかった。