ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる


こうして地獄のような二時間がようやく終わった。

「じゃあ、ごちそうさまー」

店を出た瞬間、女子たちは先を歩いて駅まで向かってしまう。
しかし、駅まで送らないわけにもいかず、俺たちは後ろを歩くように駅まで歩いていた。

するとその時。

「あれ? あれって……」

女子の一人、ミナちゃんが足を止めて前方を指差した。

その先をみてみると、街灯の下で碧斗がスマホを眺めている。

う、ウソだろ!?

あれは間違いなく碧斗だ。
なんでこんなところにいるんだよ!

俺が隠れようとするよりも早く、ミナちゃんが声を張り上げた。

「あー! 久遠くんいるじゃん!」

その声に碧斗が顔を上げた。
俺たちに気づき、目を丸くする。

これ、まずくないか!?

さあっと血の気が引いていく。
その時、女子たちはすぐさま碧斗に駆け寄っていった。

やばい、やばい、やばい!

「久遠くん! 大丈夫なの?」
「え、なにが?」

碧斗は訳が分からないといった顔で、取り囲む女子たちを見回す。